【PJCS本戦 73位】トリル寿司

はじめに

久しぶりに構築記事を書きます。コウです。

今回はPJCS2023本戦(追加開催)で73位となった構築を紹介します。

今回の構築は、ヘイラッシャとシャリタツを合体させて戦う寿司構築であり、トリックルームを軸に戦うトリル構築でもあり、一風変わった独特な構成になっていると思います。

(以下常体)

コンセプト

「高速アタッカーや合体ヘイラッシャを警戒させて、トリックルームを通す」

合体ヘイラッシャでゴリ押す」

【背景】ハバタクカミPokémon-Icon 987.png+イーユイPokémon-Icon 1004.png+テツノツツミPokémon-Icon 991.pngや、合体ヘイラッシャPokémon-Icon 977.pngはレギュレーションCにおいてパワーが高く強い圧力をもつトップメタの並びである。これらのポケモンに対しては、素早さ操作を絡めることで先制して倒しにいく攻撃的な対策と、耐久の高いポケモンを使って状態異常やデバフを絡めてカウンターを狙うコントロール系の対策がある。

【方針】おいかぜやこごえるかぜなどの素早さ操作を使ってくる攻撃的な相手には、高速アタッカーや合体ヘイラッシャをちらつかせることでトリックルームへの警戒を薄れさせて、トリックルームで切り返す。

状態異常やデバフを使ってくるコントロール系の相手には、追加効果のある高威力の範囲技を多く採用することで合体ヘイラッシャを中心にゴリ押す。

 

構築経緯

予選第1回

イーユイを対策するのが難しいと思ったので、イーユイPokémon-Icon 1004.pngを使ってみることにした。相手の意表を突きたかったのでトリックルームと組み合わせようと考えた。相性の良いトリックルーム要員としてハバタクカミPokémon-Icon 987.png、2体の低い防御を補うチオンジェンPokémon-Icon 1001.png、ハバタクカミと並ぶ先発要員として圧力のあるヘイラッシャPokémon-Icon 977.pngの採用を決めた。あと2体はヘイラッシャの見た目の圧力を高めるためにシャリタツPokémon-Icon 978.png、トリルへの警戒を薄れさせることができて汎用性の高いテツノツツミPokémon-Icon 991.pngを採用した。

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予選第1回は最高レート1770で、45戦目に勝てば予選抜けというところまで行ったが、負けて終わった。

良かった点

  • おいかぜやこごえるかぜを使って攻めてくる攻撃的な相手に対してトリックルームが有効だった
  • 基本選出(先発:ハバタクカミ+ヘイラッシャ、後発:イーユイ+チオンジェン)のパワーが高く、対応範囲も広かった

反省点

  • シャリタツとテツノツツミをほとんど選出できなかった上に、選出した試合の勝率が低かった
  • まもるでトリルターンを凌がれるのが厳しかった
  • モロバレルは草テラスイーユイで対応する予定だったが、イーユイにテラスタルを切ると相手の炎技がきつかった
予選第2回

上の反省点を踏まえて、まずシャリタツPokémon-Icon 978.pngを強く使うためにヘイラッシャPokémon-Icon 977.pngの持ち物を拘り鉢巻からオボンのみに変更して、合体選出を積極的に使えるようにした。また、テツノツツミに代えて選出誘導力が高く相性も良さそうなキラフロルPokémon-Icon 970.pngを採用した。トリルターンをまもるで凌ぐ動きの対策としては、イーユイPokémon-Icon 1004.pngとハバタクカミPokémon-Icon 987.pngにみがわりを採用した。モロバレル対策としては、イーユイPokémon-Icon 1004.pngに防塵ゴーグルを持たせた。

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予選第2回は最終レート1782、最終116位で予選抜けできた。

良かった点

  • ヘイラッシャの合体選出が想像以上に強かった
  • ハバタクカミとイーユイのみがわりが、トリルターンをまもるや交換で凌ごうとしてくる相手に対して有効だった
  • キラフロルでモロバレルの選出を誘導して防塵ゴーグルイーユイで迎え撃つのが強かった

反省点

  • キラフロルの型が弱く、選出時の勝率が低かった

この後、本戦(5/14)に向けて、ランクバトルで練習する過程でさらに課題点が見えてきた。

  • ハバタクカミとイーユイの持ち物が腐りやすい
  • 飛行テラスカイリューが重い
  • あくび展開がきつい
本戦(5/14)

キラフロルの型問題とこれらの課題点の解決に向けて様々なアイデアを試していたが、なかなかしっくりくるものがなかった。血迷った結果、本戦(5/14)では課題点の解決はおろか元々の良かった点を打ち消してしまうような酷い構築を使い、散々な結果に終わった。恥ずかしいので構築の公開はしないが、こんな構築を重要な大会に持っていくようではもう駄目だと思った。

本戦(5/14)後にミササギさんからDMをいただいて、僕の予選2回目の構築をアレンジして本戦に臨んでいたことを伺い、この構築に関して意見交換をした。その中でハバタクカミPokémon-Icon 987.pngにルームサービスを持たせて使っていて使用感が良かったと伺い、面白い発想だと思い、久しぶりに構築作りのワクワク感を抱いた。

本戦(追加開催)に向けて

トリル展開と合体ヘイラッシャ展開の2つを軸として、前述した構築コンセプトを固め、予選2回目の構築をベースに以下の変更を行った。

  1. ハバタクカミの持ち物をルームサービスに変更➡中速ポケモンに対して積極的にトリックルームを展開できる
  2. ハバタクカミにミストフィールドを採用➡これまで状態異常対策に費やしてきたヘイラッシャの特性やイーユイの持ち物が自由になった。またどくびし回収用の毒タイプの採用優先度も下がった。
  3. イーユイの持ち物をゴツゴツメットに変更➡比較的汎用性が高く、発動時のリターンが大きい
  4. チオンジェンを電気テラスにしてテラバーストを採用➡飛行テラスカイリューを緩和
  5. ヘイラッシャにねごとを採用➡あくびを恐れることなく合体できる。ウェーブタックル・いわなだれ・じしんの3ウェポンなので、合体中に眠らされても高確率で相手のハバタクカミにみがわりを残させない
  6. キラフロルをテツノツツミに戻した

最後のテツノツツミの採用理由を解説する前に、ここまで触れてこなかった本構築の大きな弱点を紹介する。それはトリル選出をした際に、高火力アタッカー2枚でハバタクカミに集中攻撃をされると、トリル展開を阻止されてしまうことである。ヘイラッシャの圧力やまもるの存在から、ハバタクカミへの集中攻撃はかなりリスクがあるが、一定数集中攻撃を仕掛けてくるプレイヤーはいた。中でも特に嫌な先発が、初手でシビアな択を迫られるイーユイPokémon-Icon 1004.png+ハバタクカミPokémon-Icon 987.pngと、合体ヘイラッシャPokémon-Icon 977.png(所謂ミラー)であった。

そこで思い出したのが、予選第1回のときにはほとんどイーユイ+ハバタクカミや合体ヘイラッシャの選出をされなかったことである。その原因はテツノツツミPokémon-Icon 991.pngの存在によって、先発イーユイ+ハバタクカミや初手合体ヘイラッシャを躊躇させる選出誘導が働いたためだと考えた。よって、テツノツツミを再び採用したいと思った。

しかし、6体目を見せポケにする余裕はなく、テツノツツミPokémon-Icon 991.pngには役割を持ってもらう必要がある。具体的には、合体選出時の先発兼スイーパー、中速系の相手にトリル選出をするときの先発orスイーパーである。予選第1回で持たせていた気合の襷や、採用率の高いSブーストエナジーではスイーパーとして火力不足であるため、素早さを落とさずに火力を上げられる命の珠を持たせることにした。

 

個体紹介

ハバタクカミ

実数値:162(252)-*-117(252+)-155-156(4)-155

ルームサービスを持たせることで、トリルアタッカーとして使えるようになり、選出の自由度が上がった(トリル選出にテツノツツミやシャリタツを入れやすくなった)。イーユイの炎・イルカマンやヘイラッシャの水・弱点の鋼を半減できる水テラス。ワンウェポンなので範囲技のマジカルシャインよりも、単体打点として強いムーンフォースを採用した。

ヘイラッシャ

実数値:226(4)-167(252+)-136(4)-*-115(236)-57(12)

合体時も非合体時も強いオボンのみを持たせた。ギャラドスなどの威嚇を絡めたコントロール系の構築に合体選出をするために特性は鈍感。フェアリーテラスは弱点が少なく、パオジアンやトドロクツキに強く、使用感はとても良かった。構築経緯にも書いたが、ねごと+範囲技2つを採用することで、合体時に眠らされても相手に悠長な行動をさせないのが強かった。

イーユイ

実数値:162(252)-*-116(124)-187(116+)-141(4)-122(12)

ゴツゴツメットを持たせることで、パオジアンなどの接触物理系との対面に強い。格闘半減で、元の弱点を消せるフェアリーテラスで採用(ゴーストだと格闘無効でゴツゴツメットが発動しない)。有利対面で相手がまもるや交換するターンに大きなアドバンテージが取れるみがわりを採用。

チオンジェン

実数値:191(244)-*-121(4)-161(252+)-156(4)-91(4)

アタッカーとして火力が不足気味なので拘り眼鏡を持たせた。飛行半減で、元の弱点を消せて、一貫性の高いテラバーストを使える電気テラスで採用。バークアウトは特攻ダウンの追加効果も強いが、そこそこ火力が出る範囲技としても強かった。リーフストームかかふんだんごの代わりにくさむすびを採用したほうが良かったかもしれない。

シャリタツ

実数値:175(252)-*-112(252)-154(+)-116(4)-102

シャリタツは能力が控えめなので、突撃チョッキ・拘り眼鏡・拘りスカーフなどの能力上昇幅が大きい持ち物でないと周りのポケモンとバランスが取りにくいと考え、今回は柔軟な技選択ができる突撃チョッキにした。合体選出時はシャリタツの行動回数が勝負の鍵を握るため耐久に振り、水テラス+イーユイで火力も出せるようにした。

テツノツツミ

実数値:132(4)-*-134-176(252)-80-206(252+)
スイーパーとしてできる限り火力が欲しいが、拘るのは弱いと考え、命の珠を持たせた。技はヘイラッシャやイーユイが呼ぶ水タイプ(テラス)に効果抜群のフリーズドライ、水技最大打点のハイドロポンプに加え、テツノツツミが覚える技の中でダブルでは最も威力期待値の高いふぶきを採用した。

 

【命中不安技に対する考え方】

「命中不安技を多く採用した構築のほうが連敗が少なく、勝率は安定する。」

今回の構築に採用した攻撃技17つのうち、9つが命中不安技である。命中不安技を多く採用すると勝率が安定しない、下振れしやすいという意見を目にすることがあるが、僕の感覚としてはむしろ逆である。

そもそも命中不安技は威力が高かったり、範囲技であったり、追加効果が優秀であったり、リターンが大きい技が多い。よって命中不安技を採用することはその構築の最大出力を高めることに繋がる。代替の命中安定技を採用した場合と比較すると(例えばねっぷう➡かえんほうしゃ、ふぶき➡れいとうビーム)、択や読みの勝負になることを回避しやすくなり、かつ終盤の逆転を狙いやすいために序盤の急所や追加効果の不運の影響を比較的抑えられる。命中不安技を当たる前提で採用したら下振れと感じるのは当然だが、命中率込みの期待値ベースで採用すれば全部当たったときは上振れになる。

僕は経験上、命中不安技が命中率を大きく下回って全然当たらず不運で負ける対戦が連続するよりも、読み負けや噛み合いの悪さで連敗する可能性の方が高いと考えている。実際に今回の構築は1戦当たり5~15回くらい命中判定があるため、基本的に1~3回は技を外すが、ランクバトルを含めても大型連敗はほとんどない。

 

選出

基本選出(トリル)

先発:Pokémon-Icon 987.pngPokémon-Icon 977.png

後発:Pokémon-Icon 1004.pngPokémon-Icon 1001.pngPokémon-Icon 991.png

先発にイーユイ、チオンジェン、テツノツツミを置いて後発にヘイラッシャを置くことも割と多い。

 

基本選出(寿司合体)

先発:Pokémon-Icon 991.png or Pokémon-Icon 987.pngPokémon-Icon 977.png

後発:Pokémon-Icon 978.pngPokémon-Icon 1004.pngPokémon-Icon 1001.png

 

結果

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PJCS本戦(追加開催):73位 1580 8勝2敗

ランクバトルs6ダブル:81位 1907 59勝28敗

 

スペシャルサンクス】

ミササギさん

 

おわりに

PJCS決勝大会への出場権にはあと一歩届きませんでしたが、約2か月間構築の改良を重ねて本戦で8勝2敗という成績を残すところまで完成度を高められたのは良かったと思います。記事を読んでいただきありがとうございました。