【s9ダブル(77位)】後発ダイマキッスサイクル
1.はじめに
こんにちは、コウです。
今回はs9ダブルで最終日に使って、レート約1750から1941まであげて最終77位になった構築を紹介します。
この構築の原案は以下の構築で、今回は下の記事を前提として書きます。
2.構築経緯
(以下常体)
s9最終日はもともと別の構築で潜り始めたが、いきなり4連敗して400位から1000位以下まで順位を落としたため、構築を変えようと思い、日本一決定戦で使った構築をアレンジして完成度を高めて使おうと思った。この時点で8月31日の午後4時である。シーズン最終日やインターネット大会当日に構築を考えるのはいつものことだから、焦りは全くなかった。
ミロカロスの持ち物はリンドのみも考えたが、ゴリランダーに対してはサイクルを回して対処したほうがいいので持ち物は変更なし。技はれいとうビームをふぶきに変えた。ふぶきの火力の期待値はれいとうビームよりもかなり高い(ふぶき115.5, れいとうビーム90)。また、ドラパルトが仮想敵なのでサイドチェンジを無視できるのは大きい。命中安定よりも期待値が大事。
ガオガエンはDDラリアットをうっぷんばらしに変えた。ドラパルト軸相手はミロカロスサマヨールの先発で迎え撃つことが多いが、後発ドラパルトへのケアとしてうっぷんばらしを採用した。トゲキッスかサマヨールと並ぶ場面が多いのでダイホロウを撃たれなければそもそも大きなアドバンテージで、撃たれたら倒すよという構えになる。
パッチラゴンは対ジバコイル以外で全く使わない10まんばりきをちょうはつに変えた。モロバレルやサマヨールなどサポート型ポケモンを半分機能停止に追い込むことが狙いである。トリル返しの阻止にも使えるし、相手のトリル阻止にも使える。すばやさは日本一決定戦の反省から、最速バンギラス抜きにした。
バンバドロはカバルドンに変えた。両者は種族値が似通っていて、異なるのは技の豊富さと特性である。技はカバルドンのほうがはるかに豊富で、あくび・なまける・のろいといった変化技とダイマックスしたときに技範囲が広がる三色牙などを覚える。バンバドロは特性じきゅうりょくによって物理アタッカーに対する詰め性能やタイマン性能が高い。カバルドンは特性すなおこしで天候を変えられ、きあいのタスキなどを潰すことができる。
カバルドン採用の決め手は環境にとても多いコータス入りの晴れパに強いことである。また、バンバドロはダブルバトルではアタッカー型しか使われていないが、カバルドンはあくびでかき回す型もいるため、相手にその可能性を意識させることができるのも良い。実際に体感先発アシレーヌは増え、先発テラキオンは減った。
このような変更によって原案と比べてかなり完成度が高くなったと感じている。構築のパワー・安定感・バランスが1段階上がったと思う。
3.個体解説
実数値 173-63-115-189-135-120
絶対的なエース。選出率は依然と比べて高くなった。相手のエースがセキタンザン、ドラミドロ、パッチラゴンなどでなければトゲキッスをダイマックスさせることを選出段階で考える。しかし意外と他のポケモンをダイマックスさせる展開になることも多いので、そこは柔軟に。後発ダイマトゲキッスと言っているが、先発させることも先発でダイマックスさせることもある。
この構築を使う時はどのポケモンを通すか、どのポケモンのHPを残しておくか、相手のどのポケモンを先に削るか、相手のどのポケモンを攻撃する必要がないかということを常に先を見据えて考えることが必要である。その中でトゲキッスを通せるときはその判断が比較的楽なので勝ちやすい(ゴリランダーをあらかじめ削る必要はないなど)。最終日にはめちゃくちゃ急所に当てた。
実数値 147-75-187-80-163-27
構築に安定感をもたらす存在。以前は先発が基本だったが、後発で選出することも増えた。日本一決定戦では全試合先発で出していたが、あれはたまたまで、何も考えずにとりあえず選出するのは良くない。サマヨールはかなり対策されていて、サマヨールを倒せる先発が来ることも多いため、あくまでサイクルのパーツとして考える。
トリックルームはカバルドンを通す展開か、相手のすばやさ操作に対応してするかのどちらか以外ではあまりしない。こいつの地味な削りが相手をトゲキッスのダイジェット圏内に押し込む。サマヨールの硬さはとても信頼してる。
実数値 202-72-99-158-145-110
ミロカロスは絶妙なポケモン。アシレーヌのほうがアタッカーとしては強いがミロカロスのほうが安定感がある。先発したときに不利なポケモンが少なく、また不利なポケモンがわかりやすいため、対戦のプランニングがしやすい。
遅い展開の構築相手に強く、壁構築やトリル、中速スタンなどが相手の時によく活躍する。ダイホロウダイアークを躊躇させるのも魅力だが、エースバーン+こだわりメガネイエッサン♂などには勝てない(D-1でワイドフォースが耐えられない)ので、ストリンダーなども含めた範囲技持ちのダイアークビートには注意が必要。
ミロカロスなど高耐久ポケモンのひかりのかべはもっと流行ってもおかしくないと思うくらいとても強い。ミロカロスのまもるは採用率が低いためかダイマックス技がよく飛んできた。次のシリーズでもこの型は強いと思う。
実数値 202-176-111-90-116-82
サイクルの中で受けを担当することも多いが、相手を倒す攻め駒としてもとても強い。この構築においてダイマックスせずにくさタイプを一撃で倒せるのはこいつだけ。またエスパー無効はワイドフォース環境では必須級。
まもるはガオガエンを使う上でとても重要だと思うけど採用率は低いのが不思議。ただそのおかげでまもるが読まれにくいというメリットがあるので、まもるを切って使っていたプレイヤーには感謝してます。
すてゼリフやとんぼがえりがないので先発させることは少ない。もともと僕は先発ガオガエンを高く評価していないこともあるけど。後発から受けだしたあとは、場に残り続けると弱いので、素引き(普通に交代)することが多い。
持ち物は混乱実よりオボンのみのほうが発動条件と見返りのバランスがいいので、僕はオボン派。
実数値 167-167-111-90-91-125
最終日のMVP。今期の環境にはとても刺さっていた。日本一決定戦では命中率50%と張り切りすぎて空回りしていたが、最終日は9割くらい技を当ててくれた。
先発させることが多いが、後発に潜ませておくのも強く、パッチラゴンを警戒せずにダイマックスした相手のみずタイプを何度もでんげきくちばしで沈めてきた。
<強い動き>
ダブルではこうかくレンズを持たせている人が多いが、命中率を少し上げて中途半端な安心感を得るより、きあいのタスキやロゼルのみを持たせて行動回数を増やすほうが強いと思う。90%を99%にするときのこうかくレンズは強いけど80%を88%にしてもどうせ命中不安だから、外しを考慮したプレイングをしなきゃならないのは変わらない。
実数値 215-180-138-88-93-46
唯一先発では出したことがない。ダブルでカバルドンピン差しの構築は珍しいと思う。
ダイアース・ダイスチルで隣のサマヨールを強化する動きが強い。バンバドロ同様、パワーは低めで技の通りは悪いが、詰め性能の高さから相手にこいつを倒すことを意識させてゲームプランを崩すことができる。対晴れパや対トリルで強かった。
のろいは結局一度も使わなかったので変えてもいいが、ほかに欲しいと感じた技も特になかったので、強力な勝ち筋になり得るのろいを採用した。
持ち物はトリル下のモロバレルやコータスの催眠技や、しっとのほのお・ねっとうによるやけどがうっとうしいのでラムのみ。
4.選出
選出パターンは20種類以上あるため、主なものだけ紹介する。
①先発+ 後発+or
基本選出。相手にドラパルトがいるときは大体この選出。後発はガオガエンのほうが安定感があるが、相手にみずタイプがいるときはパッチラゴンを出すことが多い。
②先発+ 後発+
ミロカロスの刺さりが悪い時や、行動保障のあるパッチラゴンを先発させたいときにする選出。
③先発+ 後発+or
先発ですばやさ操作が必要ない場合にする選出。初手のパワーが高い。
④先発+or 後発+or
選出を決めるのが難しい不利な相手にする選出。トゲキッスの先発ダイマ、トゲキッスを一度引いて再度繰り出して後発ダイマ、トリルからのカバルドンダイマなど状況に合わせた動きができる。
⑤先発+ 後発+or
対セキタンザン・対ドラミドロ・対トリルパでする選出。
⑥先発+ 後発+or
対晴れパ・対ラプラスでする選出。
対面パ同士の対戦とは異なり、こちらはサイクルパであるため、選出択になることは少なく、どのポケモンが必要でどのポケモンが必要でないかを時間をかけて考えれば自然と4匹決まるようにはなっていると思う。
ただ1分30秒の選出時間で最適な選出を見つけ出すのは難しい。選出の段階で立ち回りまで考えなければ最適な選出は選べないし、対戦中も一つでもプレイングミスをすると負けにつながる(逆にミスをしなければかなり高い確率で勝てる)ので、毎ターンごとにとても頭を使う。使っていて疲れる構築なので、この記事を参考に構築を考えるのはあまりお勧めしない。僕の場合は、少しM気質なところがあるので、その大変で疲れるところが楽しいと思っていて、他の楽に勝てる構築よりこの構築が好きだけど、そんな人は少ないよね。。?
5.結果
ランクバトルシーズン9 ダブル最終77位 レート1941
最終日に使い始めた構築なので、成績はこの構築のみによるものではないけど、レート1750・1000位前後からこの構築を使って順位を上げた。勝率は9割を超えていたので、もう少し潜ればさらに上位が狙えた可能性はあったけど、15戦対戦して疲れたのと深夜はプレイングミスをしやすいので撤退した。
6.おわりに
対面パばかりの環境で火力を上から押し付けあうことだけがダブルバトルではないと思うので、このようなディフェンシブなサイクル構築にも興味をもつ人が増えてくれたら嬉しいです。
今回の構築記事は前回とはかなり異なる形で書きました。前回は分かりやすさを重視してコンパクトにまとめた(つもりな)のに対して、今回はだらだら思ったことを書いていきました。今後の参考にしたいので、どちらのほうが好みかコメント欄やTwitterのリプライ等で一言でもいいので意見・感想を送っていただけると嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
7.おまけ
このあとは「構築記事」を書くときに考えていることについて書きます。
「行間を読む」という言葉があります。「行間を読む」とは、文章に文字では書かれていない隠れた意味を読み取るということです。
構築記事を書くときに、自分の書きたいことをとりあえず連ねていくと、僕の場合とんでもない文字数になります。実際にはそこから大きく文章を削ってまとめたものを公開しています。しかし、もともと書きたかったこと・伝えたいことをただ削るのはもったいないです。そこで、残した文章にもともと伝えたかったことの要素を含めることで、文章を読んだ人がものすごく深読みをすれば削った文章を察することができるように意識して書いています。
例えば、usumウルトラルールで使った構築のカイオーガの採用理由は以下の通り書きました。
「4世代伝説ルールからのイメージで最強のポケモンだから。」
何を言ってるんだこいつはと思われるでしょう。適当すぎると。しかしこの一文には削られた前後の文章の要素が含まれています。
- 4世代伝説ルールにおいて、スカーフカイオーガは非常に強かった。
- スカーフカイオーガは、天候を雨に変えることができ、超高火力の範囲技であるしおふきを先制して使えるからである。
- しかし、6世代でゲンシグラードンが登場して、通常カイオーガのあめふらしではおわりのだいちによる天候おおひでりを変えられなくなった。ゲンシカイオーガも登場したが、グラードンは天候おおあめでもメインのじめん技が使えるが、カイオーガは天候おおひでり状態では非常に弱い。
- 6世代ではレックウザと並べるオーガレックが世界大会で優勝したものの、7世代ではグラードン軸が世界大会でも優勝し、カイオーガ最強のイメージをもつ人は少なくなった。実際、オーガレックを使っている人でもメインはレックウザという人が少なくなかった。
- それでも天候あめ(おおあめ)状態で、通りの良いみずタイプの超高火力のしおふきやこんげんのはどうを使えれば最強であることに変わりはない。体力満タン雨しおふきは全ポケモンの中でも最高クラスの火力を誇る。
- つまり、カイオーガはグラードン・ゼルネアス・レックウザ・ネクロズマなどの他の伝説ポケモンより下だと思われることがあるが、僕はいまだに最強であると考えている。なぜなら、通りの良い超高火力の範囲技を使うことにおいて、このポケモンの右にでるものはいないと思っているからである。
最後の太字の部分が伝えたかったことです。これを察しろというのは無理ですね。
今後も構築記事などを公開することがあると思いますが、ぜひ「行間を読む」ということを意識して読んでいただけると新たな発見があるのではないかと思います。