【日本一決定戦2020 本戦】チームダイ
1.はじめに
こんにちは、コウです。
今回は日本一決定戦本戦で使った構築の紹介をします。
構築名はバンバドロのニックネーム「ダイ」から取りました。このバンバドロは、ランクバトルs1、s2、s4の構築でも使っていた、思い入れのあるポケモンです。
2.コンセプト
(以下常体)
先発のミロカロス・パッチラゴン・サマヨールで形をつくり、後発ダイマックスエースのトゲキッスかバンバドロを展開する。
(追記:レンタルチームは削除しました)
3.結果
日本一決定戦本戦 8-4 最終1555 28位
4.構築経緯
初手ダイマックス構築はあまり使ったことがなく、使いこなすにはかなり立ち回りの練習が必要だが、そんな時間はないので却下。ということで、後発ダイマックス構築に決めた。
後発ダイマックスのエースは、すばやさを上げられて通りが良いダイジェットをタイプ一致で使えるポケモンが良い。ダイマックスをしなくても強いポケモンを採用したほうが構築の柔軟性が増すため、トゲキッスに決めた。
先発としては、おいかぜやダイジェットを使ってすばやさ有利をとる構築が環境に多いため、トリックルームを覚えるポケモンが良い。そこで耐久が高く、相手に使われると嫌なサマヨールを採用した。
サマヨールと並べる先発としては、特性かちきによってとくこうを下げられることなく常に安定した火力を出せるミロカロスを採用した。サマヨールが苦手なダイホロウやダイアークを牽制できるのも良い。大会では、ガオガエンやウインディを使って盤面をコントロールする構築が多いと予想し、ミロカロスは刺さると思った。
次にトゲキッスとともに後発で選出するポケモンとして、先発のミロカロスが苦手なゴリランダーに受けだしができるガオガエンを採用した。いかく+ねこだまし+まもるによって相手のダイマックスターンをしのぐことができて、火力も高い。
この4体だとラプラスが重く、相手のみずタイプへの有効打が少ないため、先制すれば超火力のでんげきくちばしを使えるパッチラゴンを採用した。みずタイプに対してはゴリランダーも強いが、みずタイプと一緒にガオガエンやトゲキッスが選出されることが多いため、パッチラゴンのほうが良いと考えた。
最後にほのお・でんき・どく・いわタイプのダイマックスエースに対して、トゲキッスが不利であるため、それらに強いバンバドロを第2のエースとして採用した。バンバドロは、自身と味方の耐久をダイアースやダイスチルで上げることで、ダイマックスターンが切れたあとも高い耐久を維持できるのが強い。
5.戦略
これからの部分が今回の構築記事で最も伝えたい内容です。他の出場者との構築の完成度の差を埋めるために考えた戦略を紹介します。
7月24日。他の出場者が7月の初めからさまざまな構築を試し、ランクバトルなどで練習する中で、プレイングミスの多い僕がこれから1週間で作った構築で勝てる確率は低い。普通にやったら負ける。何か独特な策を講じた構築をつくろうと思った。
そこで浮かんだのが、
選出誘導と行動誘導
シン・タンザンがわかりやすい例だと思うが、僕は強い圧力をかけて相手を誘導するような戦い方が好きだ。
日本一決定戦は予選の上位合計150人で競う大会なので、ダブルバトルの知識や経験が豊富で、構築もプレイングもレベルが高いプレイヤーばかりが参加する。そのため、選出誘導や行動誘導をするのにはもってこいである。今回仕込んだ誘導は以下の通り
1はどう見てもトリックルーム軸に見える6体を採用しているため、対トリックルーム軸の動きを誘導できる。
2はエースっぽいポケモンが、ミロカロス、パッチラゴン、バンバドロといるため、トゲキッスがエースだと読まれにくい。
3は初手ミロカロス+サマヨールという基本選出が、INCFebruaryでカ・エールさんが使っていた、いのちのたまミロカロスがダイマックスする動きを警戒させられる。
4はミロカロスとバンバドロが相手視点ではエースに見えるため、ゴリランダーを選出したくなる。
5は特性かちきのミロカロスがいることで、先発にウインディやガオガエンは出しにくい。しかし、パッチラゴンを止めるためにはいかくがないと厳しいため、基本的に後発に置かれる。
もう一つ勝つための戦略として考えたことが、
相手が想定しない技
を構築に組み込むことである。
ミロカロスのひかりのかべやバンバドロのねむるは、有効に決まれば直接勝ちに結びつく可能性がある技であり、相手から見えにくい勝ち筋や動きがあるのは強い。実際に大会では、それぞれ4回ずつ使う機会があり、これらの技を使った4戦はいずれも勝っている。
6.個体解説
便宜上、H:HP, A:こうげき, B:ぼうぎょ, C:とくこう, D:とくぼう, S:すばやさとする。
- 実数値 202-72-99-158-145-110
- 努力値 252-0-0-188-0-68
- 性格補正 C↑ A↓
Sは+1でウインディ・ミミッキュ・ウーラオス抜き。ガオガエンをほぼ確実に抜けて、イエッサンと被りにくいラインにした。もともとS無振りだったのを大会当日の朝に変えた。物理耐久はいのちのたまリベロA特化エースバーンのとびひざげり75%耐え。
持ち物は行動回数を増やすために回復きのみ。たべのこしだとすぐに持ち物がバレてしまうのが嫌で、オボンのみはガオガエンに取られていた。
<技の採用理由>
- だくりゅう:メインウェポン。
- れいとうビーム:くさタイプやドラゴンタイプへの打点。
- ひかりのかべ:CとDが高いアシレーヌ、ラプラス、ヌメルゴンなどが場にいるときに使う。ミロカロスが放置される場面で、隣のポケモンへのダメージを軽減できる。
- まもる:相手のダイマックスターンをしのぐ。
<不採用技>
- 実数値 147-75-187-80-163-27
- 努力値 252-0-156-0-100-0
- 性格補正 B↑ S↓
A252振りいのちのたまドラパルトの物理ダイホロウを少し余裕をもって耐える。フシギバナやコータスを意識してとくぼうにも振った。
<技の採用理由>
- ナイトヘッド:安定して相手を削れる。
- いたみわけ:実質的な回復技。残数不利にならない+相手を削るコンセプトにも沿う。
- てだすけ:主にトゲキッスをサポートして上からワンパンするため。遅いサマヨールを非トリル下で活躍させるために先制技が欲しかった。
- トリックルーム:構築経緯に書いた。
<不採用技>
- くろいきり:一見相性が悪そうなバンバドロと相性が良い。トリックルーム下で、相手の能力上昇や味方の能力下降を打ち消してからダイアースやダイスチルを使うのが強い。しかし、メインエースのトゲキッスをサポートするてだすけのほうが重要だと思い、大会前日の夜に変えた。この変更は成功だった。
- 実数値 173-63-115-189-135-120
- 努力値 100-0-0-252-0-156
- 性格補正 C↑ A↓
Sは+1で聖剣士・ゲンガー抜き。
持ち物はCを下げられたり壁を貼られたりしても、特性きょううんと合わせて50%の確率でそれを無視して急所に当てられるピントレンズ。いのちのたまやじゃくてんほけんも試したが、能力を下げられるだけで相手を倒せなくなるのが嫌だった。大会当日の深夜のランクバトルで、壁構築に勝てなかったのが決め手になった(その時点ではじゃくてんほけん)。
<技の採用理由>
<不採用技>
- 実数値 202-176-111-90-116-82
- 努力値 252-196-4-0-44-12
- 性格補正 A↑ C↓
Sは+2でミミッキュ抜き。Dはなんとなく少し振りたくなった。
持ち物は確定数を変えるためにオボンのみ。ミロカロスよりHP管理がシビアなのでこっちを優先。
<技の採用理由>
- フレアドライブ:メインウェポン。
- DDラリアット:イエッサンやサマヨールへの打点。うっぷんばらしとの威力の差が勝負を左右することが割とある。
- ねこだまし:トゲキッスを通すときのサポートや、ダイマックス横のポケモンの行動を止める。
- まもる:相手のダイマックスターンをしのぐ。ガオガエンを一撃で倒すダイマックス技を使われることは多く、残数不利になってダイマックスを切らされる展開にされたくなかった。
<不採用技>
- すてゼリフ:サイクル戦で強い技であり、採用したかったが、4つの技はどれも絶対に外せなかった。
- 実数値 178-167-111-90-92-113
- 努力値 100-252-4-0-12-140
- 性格補正 A↑ C↓
Sは準速ラプラスやアシレーヌ抜き。準速バンギラス抜きにするべきだった。
持ち物はエルフーンラプラスのおいかぜ+キョダイセンリツで倒されないように、きあいのタスキ。
<技の採用理由>
<不採用技>
- ちょうはつとでんじは:先発で相手の行動を妨害できる。後発で選出することを意識して技範囲を広げようと思い、当日の朝にドラゴンクローと10まんばりきに変えた。この変更は失敗だった。
- 実数値 207-194-120-70-106-36
- 努力値 252-252-0-0-4-0
- 性格補正 A↑ S↓
持ち物はダイマックス中のやけど・ねむりで機能停止するのが嫌なのでラムのみ。
<技の採用理由>
- 10まんばりき:メインウェポン。
- ヘビーボンバー:トゲキッスやゴリランダーへの打点でダイスチルの元技。相手のダイマックスポケモンにはがね技を使う場面はほぼないのでヘビーボンバー。
- ボディプレス:特性と相性がよく、こうげきが下がっても安定して相手を削れるので終盤に強くなる。
- ねむる:回復技。バンバドロで相手を詰ませることや、ターン稼ぎに有効。
<不採用技>
- インファイト:火力はインファイト≒B+3ボディプレスなので、持ち物とつげきチョッキならインファイトのほうが好きだが、この構築ではボディプレスが優先。
- いわなだれ:仮想敵のリザードンが大会ではバンバドロとパッチラゴンを警戒されて選出されないと考えた。選出されてもパッチラゴンで対応しようと割り切った。
7.日本一決定戦本戦の対戦レポート
今回の構築は選出パターンが多いため、実際の大会の対戦を紹介することで、選出や立ち回りの説明の代わりにします。選出以外はメモを残していないので、もしかしたら記憶違いがあるかもしれません。
(*左2体が先発で、アイコンが大きいポケモンはダイマックス)
第一戦 負け
対
序盤、相手のトリル始動からラプラスを着地させられたところまでは厳しかった。ただ、トリルターンとラプラスのダイマターンは、ガオガエンの守るを使って最小限の被害でしのげた。しかし終盤に、パッチラゴンをダイマックスさせる、サマヨールがてだすけを使わないという2つの大きなプレイングミスをして、最後はほろびのうたで負けた。
第二戦 勝ち
対
初手ダイマポリゴンZに一撃でミロカロスを倒されるが、サマヨールのトリックルームは成功した。パッチラゴンの圧力で、この指とまれやダイウォールを使わせて相手のダイマターンをしのぎ、トゲキッスを通す展開になった。最後はこちらもダイマックスが切れてどれだけ急所に当てられるかという勝負になり、半分くらいは急所に当てて勝ち。
第三戦 勝ち
対
初手ダイマヌメルゴンをひかりのかべでしのいで、トリックルームからバンバドロをダイマックスさせた。しかし、ダイアースをうまくすかされ、アーマーガアにてっぺきを積まれる。バンバドロのダイマックスが切れた後は、ねむるでアーマーガアのボディプレスを受けて、その間に横のポケモンをナイトヘッドで削る展開になる。最後は、バンバドロを倒されて出したトゲキッスが、ガオガエンとアーマーガアの急所に当てて勝ち。
第四戦 負け
対
先発で完全に出し負けた時点で勝負あり。ドラパルト交換読みでDDラリアットを使うか迷ったが押せなかった。そこが唯一の勝ち筋だった。ダイマドラパルトとテラキオンに押し切られて負け。
第五戦 勝ち
対
PJCS二連覇中のカ・エールさんとの対戦。先発は迷った末にミロサマヨを出した。初手うそなき+珠ダイストリームを、ひかりのかべの効果でサマヨールが耐えたのが大きかった。トリックルームはせず、相手のダイマターンをしのいだ後、ダイマトゲキッスを通して勝ち。
第六戦 負け
対
初手てだすけでんげきくちばしを選択したが、相手のいわなだれでパッチラゴンが怯んだ。ダメージ量からパッチラゴンとバンギラスが同速だと考え、2ターン目も同じ行動を選択した。今度はパッチラゴンが先に動いたが、でんげきくちばしを外して負け。裏はおそらくフシギバナコータスなので、バンギラスさえ倒せば勝てると思っていたが、そもそもパッチラゴンが準速バンギラスと同速だったのが敗因。
第七戦 負け
対
初手で相手は両交換で、こちらはトリル始動。相手ラプラスのダイマターンを最小限の被害でしのいだ後、ラプラス方向に使ったでんげきくちばしが交換で出てきたガオガエンに外れた。当てれば絶対に勝ちだった技を外したことと、前の対戦のこともあって動揺してしまった。その結果、ダイマックスを切れるタイミングで切らずに負けるという最悪のプレイングミスをした。
第八戦 勝ち
対
初手でロトムにわるだくみを決められた上に、こちらのトゲキッスよりもロトムが速いことがほぼ確実になった。トリックルームはちょうはつされて使えないので、ねこだまし+ダイジェットを使える盤面をつくることを考えた。サマヨールが倒されそうなターンにミロカロスをガオガエンに交換してそれを実現した。その後はダイジェットでミロカロスを加速して、最後はミロカロスで3タテして勝ち。
第九戦 勝ち
対
初手ダイマラプラスを上手く通された上に、サマヨールがロトムのトリックでこだわりメガネを渡されてトリックルームで技が固定されてしまう厳しい展開になった。しかし相手のラプラスがハイドロポンプを外し、ガオガエンがロトムのかみなりで麻痺したことで状況が好転した。ガオガエンはトリル下でラプラスより先に動けるようになり、バンバドロのダイナックル+DDラリアット集中でラプラスを倒せた。最後はロトムとサマヨールの1対1になってギリギリ勝ち。
第十戦 勝ち
対
初手ダイマラプラスに対してトリックルームを決めて、どのポケモンも倒されずにダイマターンをしのいだ。その後、ミロカロスのれいとうビームでニンフィアが凍り、全く溶けなかったのでこちらはダイマックスを切らずに勝ち。ダイマバンバドロを通すためにラプラスを倒すことを意識していた。
第十一戦 勝ち
対
初手ダイマドラパルトがダイジェットをミロカロスに、こちらはてだすけれいとうビームをドラパルトに選択。その後は、まもるや交換で相手のダイマターンをしのぎ、トゲキッスをダイマックスさせた。しかし、バコウのみを失念してモロバレルへのダイジェットをてだすけしなかったため、トゲキッスがキノコのほうしで眠らされた。負けたと思ったが、チョッキ(だと思う)ウインディに使ったエアスラッシュが急所+怯みを引くなど、強運を発揮して勝ち。
第十二戦 勝ち
対
2ターン目に相手にトリル始動された。バンバドロを先にダイマックスさせて相手3体を倒し、ドサイドンの後発ダイマックスをねむるなどでしのいで、サマヨールのナイトヘッドで倒して勝ち。
8.おわりに
来年のPJCS出場権の獲得ラインである上位50位に入ることができて嬉しいです。しかし、自信の持てる構築を作れず、今年の王者決定戦出場権を狙うことすらできなかったという悔しい気持ちもあります。あまりランクバトルには向いていない構築かもしれませんが、興味があればレンタルパーティを使ってみてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!