【s7ダブル】バイバニラマタドガス
1.はじめに
こんにちは、コウです。
今回はs7ダブルで使ったバイバニラマタドガスという並びの紹介をします。
前半はこの2体の並びの考察、後半はs7ダブルで最終54位の構築の紹介をします。
目次
前半 バイバニラマタドガスの紹介
2.マタドガス(ガラルのすがた)
(以下常体)
僕がマタドガスを初めて使ったのは2019年12月。
バンバドロ軸の構築を考えていて、特性ふゆうのロトムに対してバンバドロのじめん技を通すためにマタドガスを採用した。
この構築を使ってs1とs2では最終69位という結果を残すことができた。
s2からは、ドラパルトやインテレオンのダイジェット+最速マタドガスで、相手の最速エルフーンを50%の確率(こだわりスカーフマタドガスであれば100%)で行動させずに倒す動きが少しずつ増えてきた。
s3からは、エルフーンより速いポケモンのこごえるかぜやダイアタック+マタドガスで、エルフーンを確実に行動させずに倒す動きも出てきた。
*すばやさ(S)関係は、S+1最速マタドガス=最速エルフーン、最速マタドガス>S-1最速エルフーン
INC Februaryでは、僕が当時Twitterでフォローしていたダブル勢約100人のうち4人がインテレオン+マタドガスを使っていた。
しかし、s4でキョダイラプラス、フシギバナ、アシレーヌが解禁されて、インテレオンが相対的に弱体化すると同時にマタドガスもあまり使われなくなった。マタドガス自体もとくぼうが低いため、特殊エースの解禁は逆風だった。
僕がマタドガスを再び使ったのはs5の最終日。セキタンザン軸を使っていてエルフーンやオーロンゲ入りの相手が厄介だったため、インテレオンとともに採用した。s2以来の最終2桁(76位)に入ることができた。
s6でもセキタンザン軸の裏選出としてマタドガスを使った。このとき初めてバイバニラと組み合わせて使った。
そしてs7を迎えた。
3.バイバニラとマタドガス
もしバイバニラとマタドガスを相手が先発させてきたらどう思うか?
「あれ?あられが降らない?ああ、かがくへんかガスがあるからか。でも味方のゆきふらしまで消しちゃっていいの?はがね一貫してるし、なんとなく弱そう。」
第一印象はこんな感じかなと思う。
ただ、バイバニラの持ち物がこだわりスカーフだと知れば、インテレオンマタドガスやドラパルトマタドガスを知っている人には意図がわかると思う。
こだわりスカーフのこごえるかぜ+かがくへんかガスで行動順に影響する特性を無効化
→常にすばやさ関係で有利を維持する先発である
4.長所
①すばやさ関係で有利になる
採用理由であり、一番の長所であり、この組み合わせのすごいところ。
具体例をあげて紹介していく。
【対エルフーン】
- エルフーンの特性いたずらごころを無効化して、こだわりスカーフバイバニラはエルフーンの行動より先にこごえるかぜを使える
- こごえるかぜの効果でエルフーンのすばやさが下がると、そのターンからマタドガスがエルフーンより先に行動できるようになる(最速マタドガスはS-1最速エルフーンより速いため)
つまり、エルフーンがきあいのタスキを持っていてもこごえるかぜ+ヘドロばくだんで行動させずに倒せるので、相手のおいかぜを防げる。
【対ドラパルト】
ドラパルトの特性クリアボディを無効化して、先行こごえるかぜですばやさを下げられる。
【対ダイジェットエース】
先行こごえるかぜでダイジェットのすばやさ上昇を打ち消せる。
ちなみに先制技でバイバニラを倒しながらダイジェットをされるとすばやさ上昇を許してしまうが、ゴリランダーのグラスメイカー、エースバーンのリベロ、ローブシンのてつのこぶしは無効化できるため、強力な先制技は被弾しにくい。
バンギラスの特性すなおこしもドリュウズの特性すなかきも無効化して、こごえるかぜを先に使ってすばやさを下げられる。
コータスの特性ひでりもフシギバナの特性ようりょくそも無効化して、上と同様。
②効率良く相手にダメージを与えられる
メイン戦術で使うこごえるかぜの威力は55である。追加効果は優秀だが威力は低い技という印象が強い。しかし、この威力はシングルバトルでのものである。
ダブルバトルでのこごえるかぜの実質的な威力は約82である。
*そもそもダブルバトルでは、相手2体を攻撃する技の威力は0.75倍される。しかし2体を攻撃するため、(元の威力)×0.75×2で実質的な威力は元の威力の1.5倍である。
こごえるかぜの場合、相手1体に対する威力は約41で、2体を攻撃するため実質的に82だといえる。
これは同じこおりタイプ技でよく使われるフリーズドライをしのぐ威力であり、高いとはいえないが低くはない。
マタドガスはタイプ一致でマジカルシャインが使える。これも相手2体を攻撃する技なので、実質的な威力は120である。
このような相手2体を攻撃する技と自分以外を攻撃するじしんなどを含めて一般的に範囲技と呼ぶ。範囲技は実質的に元の威力の1.5倍であることに加えて、まもるやこのゆびとまれなどの特定のポケモンへの攻撃を防ぐ技を使う相手にも有効である。
バイバニラマタドガスは、単体攻撃の高火力技は覚えないが、範囲技を使って効率的にダメージを与えることができるため、後発のエースが簡単に相手を倒せるようになる。
③相手のプランを崩せる
これこそがかがくへんかガスマタドガスの真骨頂。
s7使用率上位のポケモンを例にあげて紹介する。
1位トゲキッス:きょううんを無効化するため、急所に当てられる可能性が低い。てんのめぐみを無効化するため、エアスラッシュの怯みなどの追加効果を引きにくい。
2位エースバーン:リベロを無効化するため、ほのお技以外の被ダメージを抑えられる上に、こちらが攻撃するときにタイプ変化を考慮しなくていい。
3位エルフーン:いたずらごころを無効化する。詳しくは①に述べた通り。
4位ドラパルト:クリアボディを無効化するため、能力を下げられる。
5位サマヨール:道具をおみとおしされない。
6位バンギラス:すなおこしを無効化するため、天候が砂嵐にならず、砂嵐のスリップダメージや厄介なとくぼう上昇がない。
7位ゴリランダー:グラスメイカーを無効化するため、くさ技の威力上昇がなく、グラススライダーを先制で使えない。
8位ドリュウズ:すなかきを無効化するため、砂嵐下でもすばやさ上昇しない。
9位ガオガエン:いかくを無効化するため、味方のこうげきを下げられない。
10位アシレーヌ:うるおいボイスを無効化するため、ハイパーボイスがノーマル技のままである。
11位ミロカロス:かちきを無効化するため、躊躇せずにこごえるかぜなどで能力を下げられる。
12位ウインディ:いかくを無効化するため、味方のこうげきを下げられない。
13位ローブシン:てつのこぶしを無効化するためパンチ技の威力が上がらない。こんじょうを無効化するため、かえんだま持ちはやけどによって攻撃が下がる。
14位イエッサン:サイコメイカーを無効化するため、エスパー技の威力上昇がなく、ワイドフォースを範囲技として使えない。先制技が自由に使える。
15位ウォッシュロトム:ふゆうを無効化するため、じめん技が効果抜群。
16位ラプラス:ちょすいを無効化するため、みず技でもダメージを与えられる。
17位フシギバナ:ようりょくそを無効化するため、晴れ下でもすばやさ上昇しない。
18位コータス:ひでりを無効化するため、天候が晴れにならず、ほのお技の威力上昇や、みず技の威力半減が起こらない。
19位ジュラルドン:すじがねいりを無効化する。
20位ミミッキュ:ばけのかわは無効化されない。
その他
ウオノラゴンのがんじょうあご、ニンフィアのフェアリースキン、トリトドンのよびみず、カビゴンのくいしんぼう、セキタンザンのじょうききかん、ウォーグルのまけんき、アーマーガアのミラーアーマー、ピッピのフレンドガード、パッチラゴンのはりきり、ヒヒダルマのごりむちゅう、ペリッパーのあめふらし、ストリンダーのパンクロックの無効化も非常に有効である。
使用率上位には特性が採用理由であるポケモンが多く、ほとんどのプレイヤーは特性が発動することを前提に構築を組んでいる。そのため、特性が発動しなければ事前に考えたプラン通りにはならない。
相手の特性を消すことで相手の強みを消せるため、火力や耐久が中途半端なマタドガスでもダメージレースで不利にならない。
5.短所
火力が足りない。耐久を上げるダイアースやダイスチルを相手に使われやすい。
攻撃的な相手には強いものの、相手の先発が耐久が高いポケモンや耐久を上げるポケモンだとダメージレースで不利になりがちである。
6.バイバニラの採用理由
こごえるかぜを覚えて、こだわりスカーフを持たせてドラパルトを抜けるポケモンは、シリーズ4で使えるポケモンの中で30匹以上いた。その中でバイバニラを採用した一番の理由は、こごえるかぜを使ったときに相手に与えるダメージ量が最も大きいからである。
なぜこごえるかぜに威力を求めるのか?
バイバニラマタドガスは、すばやさ関係で有利を維持することで、後発のエースが相手に先行して攻撃できるようにする先発である。しかし、仮に相手にほとんどダメージを与えられていない状態で後発のエースを出すことになれば、すばやさ関係では有利でも状況としては不利である。
つまり、先発2体で相手に多くダメージを与えることはとても重要である。特にこごえるかぜを連打するポケモンの火力が低いと放置されてしまい、実質2対1で戦うことにもなりかねない。
後半 s7ダブルの構築紹介
7.構築の概要と結果
ここからはs7ダブルで最終54位となったバイバニラマタドガス入りの構築紹介。やっとここまできたということで、良かったらもう少し付き合ってください。
(追記:レンタルチームは削除しました)
先発バイバニラマタドガスから展開して、後発のダイマックスドラパルトとハチマキウインディで相手を一掃していく。対トリックルーム構築やバイバニラマタドガスの先発を出す意味がない相手には、アシレーヌやナットレイを含めた柔軟な選出をする。
結果
s7ダブル 最終レート1913 最終54位
日本一決定戦予選 最終レート1735 最終180位
8.構築経緯
バイバニラマタドガスの先発で序盤を有利に進めて、後発のダイマックスエースを通す構築を組みたいと考えたため、バイバニラとマタドガスは採用確定。
エース枠としては、すばやさが相手のダイマックスエースより速く、すばやさ有利を維持するためにダイジェットを使えるポケモンが適していると考え、ドラパルトを採用した。
ドラパルトとともに後発から出すサブアタッカーとしては、削れた相手を倒していくスイープ能力が高いポケモンが適していると考え、ウインディを採用した。ウインディは、ドラパルトのダイホロウと相性がよく、先制技のしんそくも強い。
残り2枠は、ここまでの4体で対応できないトリックルーム軸やキョダイラプラス軸などの相手に出すポケモンとして、アシレーヌとナットレイを採用した。
この2枠の条件は、トリックルーム下のラプラス、アシレーヌ、ドサイドン、ブリムオンなどのエースに対して強く、トリックルーム軸によく採用されるトゲキッスやイエッサンに対して弱くないポケモンであること。
アシレーヌとナットレイを採用したのは、なんとなくドラパルトウインディと相性が良さそうで使い慣れているポケモンだから。
ドラパルトウインディアシレーヌナットレイの採用理由は決め手に欠けており、この4枠はいずれも考察不足である。シーズン最終2桁という結果は残せたが、構築の完成度はあまり高くないと思う。
9.個体紹介
H:HP、A:こうげき、B:ぼうぎょ、C:とくこう、D:とくぼう、S:すばやさと表記する。
- 性格 おくびょう
- 努力値 H4 C252 S252
- 実数値 141-95-140-137-90-123
この構築の肝。かがくへんかガスはものすごく強い。今回はこのポケモンが場に残ることが大切なので、きあいのタスキを持たせた。ねっぷうはなくてもいいけど、ほのお技がないと使いにくい印象がある。
- 性格 おくびょう
- 努力値 H4 C252 S252
- 実数値 146-95-105-162-115-144
ふぶきを使わなくてもバイバニラは強い。こごえるかぜの蓄積ダメージは意外と大きい。
- 性格 ようき
- 努力値 H172 A252 S190
- 実数値 185-172-95-108-95-190
エースバーンより速いアタッカー。バイバニラマタドガスの後発エースとしては強かったが、基本選出以外ではあまり活躍しなかった。うっぷんばらしはやめてほしい。
- 性格 ようき
- 努力値 H4 A252 S252
- 実数値 166-162-100-108-100-161
こだわりハチマキウインディは初めて使ったが、強かった。ドラパルトのダイホロウと合わせてごり押しで相手を倒せる。
めいそうアシレーヌはトリックルーム軸に対して強かった。物理耐久ラインは、いのちのたまエースバーンのダイジェット耐え。なぜか努力値が余ってることに記事を書いていて気づいた。
- 性格 ゆうかん
- 努力値 H252 A252 B4
- 実数値 181-160-151-66-136-22
みずタイプに困ったらとりあえずナットレイ。トゲキッスやイエッサンに強くするためにオッカのみを持たせた。
10.選出
①基本選出
先発
後発
トリックルームを使うポケモンがいなければ大体この選出。ほとんど交換はせず、バイバニラかマタドガスが倒れたらドラパルトを出す展開が多い。先発2体のうちできればバイバニラが先に倒れてほしい。(シン・タンザンの裏選出の場合はマタドガスが先に倒れてほしかったのでそこは後発2体次第)
先発または
後発または
バイバニラとマタドガスを出しにくいトリックルーム軸やラプラス軸に選出する。基本選出の次に多い選出。
③マタドガス入り
先発
後発
マタドガスのかがくへんかガスは有効にはたらくが、バイバニラは出しにくいセキタンザン軸や一部のスイッチトリル軸などの相手に対する選出。ドラパルトが初手ダイマックスする。
④バイバニラ入り
先発
後発
ドラパルトバイバニラの先発で押していけそうな相手に選出する。
11.おわりに
バイバニラマタドガスの並びは想像より強かったです。あまり完成度が高くないこの構築でも最終2桁を達成できたので、周りの組み合わせをよく考えればもっと勝てると思います。この記事を読んでマタドガスに興味をもってくれる人が増えたら嬉しいです。ここまで読んでくださりありがとうございました!